March 31, 2009

デザインの「圧力」と「濃度」

ここ最近は、グラフィックの仕事とインテリアの仕事が
パラレルに展開することが多いのですが、
実際思考回路がどう違っているのか、ふと考えてみようと思います。

意識的に思考をスイッチするわけではないのですが、
どこか違うようにも感じます。難しいことなので、
脱線することもあるかと思いますが、ブランディングを考える上で、
トータルにデザイン・ディレクションする上でとても大切なコトだと思うので、
この場を借りて随時考えていこうと思います。

ブランディングは
「タンクに入った溶液をどの照準に合わせて発射するのか?」
に例えることができると思います。
タンクの大きさ、つまり容量は資金力といった経済力といったところでしょうか。
デザインでカタチにできることは、タンクに入る溶液の「圧力」「濃度」です。

溶液の成分が効くもしくは必要としている位置に発射させるために
必要な「圧力」を掛けます。「圧力」は掛けすぎても飛びすぎてしまい、
的外れになりますし、掛けなすぎても垂れ流しになってしまいます。
巧いと思えるデザインは、この「圧力」の掛け具合が絶妙で、
目標地点に的中した場合です。

「濃度」にはまずどんな成分によって構成されている溶液の濃度なのか
ということが重要です。成分構成比は言わばコンセプトに当たると思います。
デザインのレシピです。
同じ小麦粉でパスタとパンが作れるように、同じ材料でも
料理法(アウトプット)の違いによってガラリと変わります。
最初から料理に例えれば分かりやすいかと思いましたが、
それだとその料理を誰にどう振る舞うかといった別のコードが発生して、
デザインの定義付けが難しいからです。
成分構成比で言えば、パスタとパンは水分や調味料の違いと言うこともできます。
また、「濃度」という言葉で浸透率についても
今後綴ることができると考えたからです。

アウトプットが異なる場合で考えてみると、
成分比率(前述で言えば料理法によって生まれる成分構成比の違い)
が異なってきます。
異なる成分比率(溶液の粘度の違いと言えばわかりやすい)で同じ場所に
発射するためには、異なる「圧力」が必要になってきます。
つまり、アウトプットの違いによって、同じコンセプトを用いたとしても
「圧力」の調整が必要なのです。

基本的には、デザインにおいて考えることはどのジャンルでも
共通していると思います。
ただアウトプットが多様な上でブランディングを考えていくには、
その異なるアウトプットを同じ地点に発射させる圧力差を調整するテクニック
必要なのです。
この「圧力」の加減ができることで、
はじめてトータルなデザインが可能になってくると思います。