June 3, 2011

「雨どい」

今日は住宅の雨どいについて少し書きます。
雨の多い日本では、住宅には原則として外壁に雨どいがあらわしとなります。
例外もあります。
隣接する建物などがなく軒の出がある程度の寸法がとれる場合や
陸屋根で内どいの納まりを工夫した場合などは、外壁に雨どいは不要です。

建物の耐久性の確保のため雨水を排水するための建築の部位が
雨どいですが、デザインのよいものが既製品ではなかなかありません。

そこで昨年リクドにてデザインした住宅KAHUではオーナー様とご相談しながら
オリジナルで雨どいを製作しています。
いろいろ検討したのですが、最終的に以下のような形状になりました。

とい2ある程度抽象化した形状のオブジェクトとなるように機能的に必要な要素のみ
を残しあとはすべてをそぎ落としています。
そうすると注意深く観察しない限りは、この部位が雨どいであるとはわかりません。

とい3下面にわずかな突起があり、この部分で雨水が切れ鉛直真下に落ちます。
雨水が落ちる際の軌道が下方となるように整流板ももちろん設置しています。

住宅では雨どいなどの各部位はとても重要です。
そういった細かな要素がいかにデザインされているかによって、住宅全体の
印象が変わるからです。
そのようなデザインが可能な住宅はとても幸せです。



February 20, 2011

リビングを「オーディオルーム」にする方法

昨年、友人に誘われデザインをした分譲マンションのリノベーションです。
日常の生活空間で本格的な音楽鑑賞を楽しみたいという
オーナー様のご要望を受けて、音環境のデザインに取り組んだので少しご紹介します。

音環境
のデザイン 住まいにあるオーディオルームやホームシアターの事例を探してみると、
ほとんどが防音室や音楽室のような雑音のない閉鎖された個室空間です。
そこは音楽を楽しめる場となっているのですが、あまりにも閉鎖的なので
普段の生活で長くくつろいだりして滞在する空間ではありません。
ですが、リラックスしてくつろいでいるリビングルームやダイニングルームで
オーディオルームのような良い音を聴いて生活したいと思いますよね。
そんな空間を今回はデザインしました。

オーディオルーム その空間を実現するためLINN(リン)というオーディオ機器の設置のプロである
サウンドクリエイトにもご協力いただき、
リスニングに適したインテリアを開発しました。
以下専門的な用語がいくつかでてきますが、
解説をつけると長くなるので割愛します。
具体的な方法をまとめると以下のような方法です。
音楽の鑑賞に悪さをする定在波を軽減するため、
天井と壁の取り合い部分の形状をなめらなかな曲面形状とします。

曲面形状の壁 ボード等で仕上げがされている部分は原則なしとするか、
グラスウール等の吸音/遮音材を充填します。
一番重要な吸音と反射の調整ですが、布クロスやカーペット、カーテンなどで
室全体を仕上げ、窓がある場合は遮音と吸音性能のあるブラインド等を設置し、
空間の基本的な音環境を整えます。
次に室の形により音源と鑑賞者の位置関係を考慮し仕様を決定します。
「ライブよりのデッドな環境がいい」など音楽のジャンルや好みにより異なるので、
そこはオーナー様とご相談しながら調整を行います。
低音と高音のバランスもそうです。
低音を吸音する仕上げと中、高音を吸音する仕上げを使い分けて
基本インテリアを完成させます。

音環境インテリア もっとも重要なのはインテリアのリノベーション後、
オーナー様が音環境を自由にコントロールできるしくみをつくることです。
音環境のスペシャリストでもオーディオルームは工事が完了してから調整に
費用と時間を必要とします。
どの空間も同じものは一つとしてないので個別対応が必要です。
ましてやリビングルームではクッションや収納物により音環境が変化するので、
調整が必要になる可能性もあります。
今回はそのしくみをつくりました。
布パネルと木製戸、鉄板、家具収納をインテリアのデザインとして機能的に配置し、
オーナー様のご意向により可変可能なものとしました。
オーナー様の好きな時に音環境の調整が可能となりました。
この方法なら音楽鑑賞を楽しめるリビングやダイニングをつくることが可能です。
結果、とてもバランスのよい環境となりオーナー様に喜んでいただきました。

February 7, 2011

欧風ワイン居酒屋「スケッチなど」

今日は店舗プロジェクトの打合せ資料を少しご紹介します。
急ぎの案件や居抜き物件の改装などはデザインイメージの相談にスケッチを使います。
現場で迅速に既存家具などを採寸しそれに見合う空間をイメージする時に、
イラストのようなスケッチを描きます。
CGのような詳細なイメージとはいかないですが、
オーナー様とイメージを共有しながらこれから完成する空間をご相談するのには、
スケッチはとても効率がよいツールです。
オーナー様と完成イメージをあれこれご相談するのはとても楽しい時間ですし。
先日竣工したワインバーのスケッチと完成写真をいくつかアップしておきます。

ファサードスケッチ ワイン欧風居酒屋ファサード シャンデリアスケッチ" ワイングラスシャンデリア カウンタースケッチ テーブル造作スケッチ

May 26, 2010

「設計の仕事」

ここ最近、人と会って調整をしなければならない業務が多くデスクでの作業時間が
とれずに落ち着いてブログを書くことができませんでした、ひさしぶりに再開です。

今日は建築の設計分野で実際に働いてみないとわからない設計の仕事について
少し書いてみようと思います。少し長くなります・・。
以前に勤務していた事務所の代表が建築家で大学のゼミをもち複数の大学で
教えていたこともあり実務をしながら現役の学生と話す機会が多かったのですが
学生が気にしていたのは建築の設計とはどういう仕事なの?ということでした。
単に設計の仕事といっても現代は分野が多岐にわたり規模もばらばらなので
そのこたえはひとつではありませんが、いくつかあげてみます。
1.情報を収集し整理する仕事
2.人を動かす仕事
3.デザインをする仕事・・
建築の仕事はそのほとんどが地味な作業の連続です。

1の例をあげると設計の初期段階では関係する建築基準法令や上下水道など
設備インフラを諸官庁に確認し、計画敷地の測量ならびに地盤の調査をもとに
地耐力や地盤の汚染状況の確認をします、近隣住戸の現況や日照、通風など
環境条件の調査も必要です。
また建築材料や新しい設備製品の情報収集も必要となります。
確認がつねに必要となる依頼者(クライアント)との打合せもそのひとつです。
これら情報を整理しプロジェクトに有用なものをまとめます。

2は設計の仕事の中核となります。
建物が完成するには多くの人が関係します、設計者だけではつくれません。
予算に余裕のあるプロジェクトなら無理も可能ですが通常は限りがあります。
目標となる予算内で契約期間内に建物を完成させなければなりません。
予算がなくてもプロジェクトに関係する人たちが個々の能力を最大限に発揮し
良いものをつくろうという気持ちになることが不可欠です。それは施工を直接
行う職方だけの話ではなく営業マンや積算、各材料メーカーの営業、そして
発注者であるクライアントにもあてはまります。
プロジェクトの状況に応じて臨機応変に関係する人々を動かすことができる
信頼関係を築くのも設計の重要な仕事です。

3でようやくデザインです。
設計が優れたものになるか意匠、構造、設備を検討します。
芸術性や、文化的に価値があるかなども考える仕事です。
この3の業務は先に挙げた1、2の仕事と連続していてこれら全てを行うこと
によってはじめてよいデザインをすることができます。

設計の仕事の一部ですが、簡単に書いてみました。
他にも作業はたくさんあります。
流氷の水面下の部分は水面上の大きさにくらべるとかなり大きいですが、
美しい建物が誕生するには膨大な地道で地味な作業が行われています。

April 23, 2010

「よい住まい:#4 バランス感覚」

住まいの設計では「バランス感覚」をもつことがとても重要です。
それはクライアントである建主と設計者の両者に必要なものだと思います。
その理由は住宅ができるまでの過程を考えてみるとよくわかります。
竣工するまでにはたくさんの事項・要素について決定をしなくてはならないですが
決定の際にひとつの事項に固執してしまうとバランスの悪い家ができあがります。

かいぎ.jpg 極端な例をあげてみます。

・ケース1は性能にこだわりのあるオーナー様です:
家の断熱性能や遮音性能、耐震、気密・・・の性能評価を高くすることに熱心で
他の部分はそれほど関心がない方です。
完成した家は高い性能を有していますがデザインがチグハグで雰囲気がよくない。
近年は環境に配慮した商品が開発され情報をカタログ等でみることができます。
それらを鵜呑みにして判断していくとオーバースペックとなることもありますし
性能重視の製品はやぼったいデザインが多いのでイメージが悪くなりがちです。

・ケース2はデザイン重視のオーナー様です:
写真集や専門誌で見たような家がほしい・・とデザインイメージ先行の方です。
完成した家は写真栄えのする美しいデザインですが日常生活で不便なことも多く
故障やメンテナンスも各部分で必要になってしまいました。
優れたデザインのためには不便でもかまわないという人も実際いらっしゃるので
単純には良し悪しを判断することはできませんが、大変そうです。

・ケース3はコスト重視のオーナー様です:
とにかく安くしてくれればいいという判断です、当然デザインは求めていないので
家の中にさまざまな建材が建材展示場のように無秩序にばらばらと並びます。
また商品を直接購入して施工者に支給という形で多くの材料を入手したため
数年後、材料の不具合が発生したときには施工者のメンテナンスは非対応で
オーナー自ら材料を入手して施工を業者にお願いすることになりました。
これも極端な例ですが長く生活をする場が展示場のようでは寂しいですし
オーナー自身が補修の段取りや手配を行うのも厳しい気がします。

極端な例を3つあげました。
程度の差はあれ家をつくろうとする際にはどの要素も必ず検討することになります。
例にあげたようにひとつの要素に固執して全体のバランスが悪いと
よい住まいとは異なるものになっていくことが想像できると思います。
理解しているつもりでも、いざ設計打合せを進めると特定要素に目がいきがちです。
やはり建主と設計者でよく相談をして冷静に全体を考え判断を行いたいですね。
そのためには「バランス感覚」を意識することが大切です。

March 23, 2010

「よい住まい:#3単純なかたち」

今日は住まいの間取りについて書きます。
まず「間取り」という言葉の意味ですが文章で説明すると、建築の内部を
部屋や壁で囲まれた空間(区画)で分割することあるいは分割した空間に
機能を配置すること・・となります。
うーん・・文章にするとイマイチ、ピンとこないですね。
皆さんが「間取り」という言葉からイメージする意味で全く問題ないので
意味について書くことはやめます、興味のある方は調べてみてください。
さて住まいの間取りについては、折込み広告などにハウスメーカーのチラシ
が多く入っていますし住宅の専門誌には必ず平面図が掲載されていますので
一般の方もイメージしやすいですよね。
(間取り図と平面図は正確には意味が異なりますがここではどちらも住まいの
構成を知るための図式であるという点で同じものとして扱います。)

まどり.jpg では間取りについてです。
間取りの評価ついては立場や条件によって価値基準が変わります。
不動産業であれば高い賃料に設定できる、または高く販売できる条件の
間取りがやはり評価が高いですね(広さを重視、採光を重視等々)。
そういった評価はプロの不動産鑑定士にまかせて、ここでは設計の立場
から見たときの間取りとして優れていると思うポイントをとりあげます。
それは「どれだけ間取りが単純なかたちであるか」ということです。
実際に家を設計するときにはかなり多くの情報や条件が関係することに
びっくりします、それらを整理してクライアントの要望を満たしデザインの
あるアイデアをまとめなければなりません。

建築家に家を依頼するオーナーの希望はいろいろな夢も重なってふくらみ、
かなり多くなっています、中には実現するのがむずかしい希望もあります。
それら多くの要望や条件をクリアし整理し必要なことを判断して間取りを
デザインするわけです。
もしたくさんの要望をひとつひとつ直接かたちにしていたら間取りはどんどん
複雑になってしまい、使用する材料の種類、数量も増え建設コストも高く
なります。要望を満たしているので設計はできているのですが、
図面にまとめただけのことでそれでは優れた設計とはいえません。
それに対し複雑にからんだ多くの条件をごく単純な間取りですべて解決
できたらどうでしょうか?材料も過剰に消費せずコストはかかりません、
そして様々な用途に対応できるフレキシビリティ(柔軟性)がその間取り
には生まれます。

住まいは人が生活をする空間です。
人の生活は年齢に応じ様々に変化していきます、つまりライフステージに
よって様々に変化します。そのような特徴がある以上、住まいもその変化
に対応できるものでなくてはなりません。
住まいには変化に対応できるフレシビリティ(柔軟性)が必要です。
それがごく単純なかたちの間取りがよい住まいだと判断できる理由です。

February 9, 2010

「よい住まい:#2 光の高さ」

今日は住まいの「光の高さ」について書きます。
光といっても照明光ではなく自然光についてです。
家は人が生活を行う空間ですが、その機能を除くと
単に屋根と壁で囲まれた閉じた空間(箱)です。
何もしなければ箱の内側は光の届かない暗い空間です。
そこに光や風を取り込むための窓(開口部)という装置(技術)を用いて
はじめて人が住まうための室内空間(インテリア)が生まれます。
建築をつくる作業ではこの光(開口部)をつくるという作業はとても重要です、
この違いにより室内空間は全く異なってしまうからです。
建築とはこの光を操作することだと考える建築家もいるくらい、
空間の質に影響を与えます。
少し話が脱線しました、今日のテーマの「光の高さ」に話を戻します。
結論から言うと高い位置の光や低い位置の光など、高さに違いのある光
ある家はよい住まいだと思います。
異なる高さの開口部から入る自然光によって室内空間は時間とともに様々に
変化する魅力的な空間となります。

少し説明をします。
南面にひとつだけ窓のある部屋があるとします。
窓高さは床から自分の身長ぐらいまでです。
太陽光はつねに斜め上方から射してくるので窓直上の壁や天井は
直射光のあたらない暗い部位となります。
ですが室内の大部分は明るくなります。

よい住まい「高窓」 それに対し天井に近い位置の窓をつくると暗くなるはずの天井面に
光の照り返しなどで窓から光があたり天井面も明るくなります。
逆に床に近い位置の窓をつくると室内の壁や天井の大部分が暗くなりますが、
自然光が床に反射し壁や天井をぼんやりと照らすので
外光の光の強弱の変化が室内の光の変化としてよく見えます。

ここまで窓の高さにより室内の光の印象に違いがあることを説明しました、
では窓の高さが一定にそろうと室内空間はどうなるでしょうか。
例にあげたような光の印象が家のどこにいっても続くことになります。
一定というと安定してよいように感じますが、裏を返せば単調で退屈な状態です。
住まいには快適な生活ができるよう一般解としての窓の大きさや高さがあります。
腰の高さから頭上くらいまでの腰窓や床までのはき出し窓がそれで、
ほとんどの住まいはこの2種類の窓の組み合わせになっています。
室内に十分な採光と通風を得ることのできる優れた開口ですが、これらの窓の
組み合わせとなると室内の光は単調になり退屈な印象となってしまいます。

やはり毎日過すなら、光の変化を感じる魅力的な空間に住みたいですよね。

January 29, 2010

「よい住まい:#1歩きまわれること」

設計を担当した住宅ではオーナー様から
「家にいることが多くなり外出する機会がへりました」という感想を
よくいただきます。
それは家の居心地がよいということだと理解しています。
よい住まいについて考えていくシリーズの記念すべき第一回目です。
まずは私がもっとも大切だと思うポイントをあげてみます。
それは「歩きまわれること」です。
単に広い部屋の中を歩きまわるということではありません。
空間(室)に二つ以上の出入口があるということです。
これまで住まいの規模として豪邸とよばれるような大きなものから
狭小とよばれる小さなものまで設計を経験しましたが、
小さくても歩きまわれる住まいは外にいるような広がりを感じることができ、
一日中家にいても閉塞感や圧迫感を感じることがありません。
逆に大きな家でも出入口が一つしかない行き止まり空間には閉塞感があります。
でも歩きまわることができるとはどういうことでしょうか?
ヒントは室内風景にあります。

まわれる02.jpg 例をあげてみます。
まず寝室と廊下、洗面室という3つの空間があると仮定します。
出入口がひとつの場合は廊下と寝室、廊下と洗面室がそれぞれドアでつながり、
寝室と洗面室は廊下を通らない限り行き来することができません。
この場合の室内風景は、寝室?廊下?洗面室という接続の1通りです。
出入口がふたつの場合は廊下と寝室、洗面室がそれぞれドアでつながり、
さらに寝室と洗面室もドアでつながっています。
この場合の室内風景は、寝室?廊下?洗面室と寝室?洗面室?廊下という
接続の2通りとなります。
さらに部屋(室)数やドア数が増えると接続の組み合わせは増えていきます。

移動する経路の選択によって室内風景の組み合わせ数が増え、空間体験として
家の物理的な規模よりも大きな広がりを感じます。
この特徴を利用すると家という限られた面積の空間に実面積以上の空間を
つくることができます。
こういう家では子供達がつねに楽しそうに家の中で遊んでいます。
すべての室では無理な場合もありますが、ひとつの室でも広がりが生まれるので
住まいを検討している方は、考えてみることをおすすめします。

January 21, 2010

「よい住まい:#0前書き」

今年から不定期ですが、私が思う「よい住まい」についての様々なポイントを
メモ書きとして思いつくままに書いていこうと思います。
知人に住まいについて相談をされることが増えてきたので、
少し文章にまとめておきたいと思ったからです。
多くの書籍が出版されていますが、それらを見ても何がポイントか、
自分達の住まいをどうすればよいか迷ってしまうようです。
このブログがこれから住宅やマンションを購入しようと考えている方や、
設計を依頼する建築家やデザイナーを探している方、
住まいについて興味のある方にとって、
住まいを考えるときの何かの参考になればと思います。

「よい」という判断はあくまでも主観的な判断なので、
全ての人にあてはまる判断基準ではありません。
ただ、設計の経験と実体験から気持ちがよく心地いい空間、
生活しやすくて美しい空間
についてわかってきたポイントがやはりあります。
あくまでも私個人の主観的判断なので、家を建てたいと思うすべての方にとって
あてはまるわけではありませんが、知っていて損をしないと思う事項を中心に
まとめていきます。

l住まい模型
ただし、住まいも含め建築の設計には模範解答はなくあくまでも依頼者である
オーナー様と設計者との共同作業によってつくられる唯一無二の解答ですから、
最終的には依頼した設計者を信頼し相談をしていきながら、
あなたにとっての「よい住まい」を見つけていただけたらと思います。
もしこのブログをみて住まいについて相談してみたいと思った方がおられましたら、
弊社までお気軽にお問い合わせください。
業務の関係上すぐに対応できない場合がありますが、ご連絡させていただきます。
「よい住まい」をつくるお手伝いをさせていただきます。

December 30, 2009

「土いじり」

陶芸
少し前に陶芸をたしなんだのですが、肌で感じる土の気持ちよさには癒されます。
左官のマテリアル感は好きで、壁や床によく使っていますが、
イメージ通りのサンプルが出来るまでは、
結構な数のサンプルの山が出来てしまいます。

それだけ、材料と職人さんの技で、無限の表情を作り出すことができる土ですが、
なかなか柔らかい生の土を自分で触ることはなく、こういう機会に巡り会うと、
また新たな土の魅力に気付きます。

インテリアデザインでは、エイジングと呼ばれるあたかも時が経過することによって
建築物などが経年変化・経年劣化したように見せる技術があります。
ピカピカの綺麗なモノより、アンティーク風な仕上がりの方が、風合いがあり、
お店や商品の雰囲気にマッチすることもあって喜ばれる方も多いです。

私もアンティーク家具は、普通にかっこいいと思いますし、
歴史的な古い建物を見ると感動し、こんなものを作ってみたいなぁと強く憧れます。
でも、同時に今こんなものを作ってみても所詮・・・風にしかならないという思考も
生まれます。

私を含めて皆さんが古い良きモノを見てきたから、
エイジングされた新装のインテリアを見てかっこいいと思うわけで、
全くそういうモノを見ていない人がそのインテリアを見たら、
180度違った反応をするかもしれません。

錆びた鉄とか古びた木材がマテリアルとしてかっこいいと感じるのは、
ただ純粋にその質感が良いのか、アンティークの持つ時間の流れを汲み取った中で
良いと感じているのかまだ分かりません。
でも、・・・風ばかりでは、テーマパークと変わらないという危惧感もあります。

左官や漆喰といった土を使ったマテリアルは、
アンティークの持つ風合いの良さを持ち、
エイジングの持つ・・・風な危惧感を拭い去る素材だと思います。
しかも日本の風土・文化に深く根付いているものですし、
自然素材としての魅力もあります。

土を触ると癒される土本来が持つ温かさに、職人さんの手仕事によって
さらに温かさを増す左官や漆喰といった仕上げは、
これからもっと挑戦していきたいと思います。

陶芸は楽しいですよ。
思い通りのカタチにならない不器用な自分と向き合うと、
多くの方に助けていただいているから今の自分があるのだと実感します。

今年も皆さん本当にお世話になりました。
来年もまた宜しくお願いいたします。
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