July 10, 2009

「かわいいデザイン」

かわいいデザインって難しいなぁと最近感じています。

キレイとか、かっこいいというのは、プロポーションや色彩、テクスチャーといった
さまざまな観点から、左脳と右脳の双方で自分の頭の中で検討していくことが
できるのですが、かわいいはそれが出来ない気がします。

「かわいい」を辞書で調べてみると、
小さいもの、弱いものなどに心惹かれる気持ちを抱く様。
愛情を持って大事にしてやりたい気持ちを覚える様。
いかにも幼く、邪気のない様子で、人の心を惹き付ける様。
あどけなく、愛らしいとあります。

やはり非常に心理的な表現であるため、曖昧です。
ブームになったキャラクターを見ると、自分でかわいいと共感できるものもあれば、
そうでないものもあります。時代背景や支持する年齢層、ライフスタイルによって
「かわいい」はそれぞれあるのでしょう。

デザインを詰めていくと、どうしても調和がとれてきてしまい、
美しいが強まり、かわいいが薄まってしまうように感じます。
要するに、優等生になってしまうのです。
キモかわいいとかブスかわいいという造語があるように、
かわいいってちょっと崩れている感じが必要なのかもしれません。
その完璧ではないルーズな部分が心惹かれる要素なのかもしれません。
子供がかわいいのも、無邪気で幼く、
完成されていない無垢な部分があるからですよね。

未完成な部分を残しつつ、その未完成ゾーンに優等生にも負けない
無限の可能性を秘めたデザイン、
それがかわいいデザインであるのかなぁと思っています。

ヘタウマ(下手巧)とかも、ただの下手に見えないためには、
かなりの膨大なスタディーをしているのでしょう。
そうでないと、自分の提案するデザインに自信も持てませんし、
下手と巧い両者の均衡関係で大きくクオリティーが左右しますから、
頭の中で考えても分かりませんし、とにかく数をこなしていくしかないでしょう。

確信犯的にかわいいデザインを創るのはまだ出来そうにないので、
小学校の先生が「あいつは本当ダメな奴だけど、将来きっと大物になる」
と職員室で自慢げに話す気分で、
自分で創ったたくさんのスタディーの中から、どのデザインが
「かわいい」かどうか見つめてみようと思います。

July 6, 2009

「ゆれてみる」

ゆれる
滞在したホテルでの経験です。
テラスでロッキングチェアに座り、ゆれてみます。
そして何も考えずぼんやりと風景を眺めます。
リラックスして気持ちがいいですね。
この居心地のよさはどこからくるのでしょうか?
考えてみます。

ゆれる
テラススペースの床高さはアプローチの地盤高さより少し高くなっていて、
柱と手すり、そしてその前に少しの植栽があります。
チェアに座りゆれているとき、目の前を通行している人と目があったとしても、
通行人も自分もそれほど嫌な思いにはなりません。
それは、自分が通行人を風景の一部として、通行人も自分をホテルエントランスの
風景の一部として認識しているからです。
ここでは、パブリックな領域とプライベートな領域が同時に存在しています。

そんな関係をもつような半外部の空間はとても魅力的です。
旅先で、たまには「ゆれてみる」のもよい経験です。

July 2, 2009

「種」

食料自給率40%(平成19年概算値)の日本が、これから訪れる食糧難の時代に
生き延びていく道は残されているのでしょうか?

国内で生産できなければ、もちろん輸入するしかありません。
しかし途上国の人口増加と経済発展で食生活が変わる一方で、
温暖化や異常気象の影響で収穫量が減少すれば、
農産物の輸出国でも国内需要を賄うのが精一杯になり、
日本はお金があっても買えなくなる日が来るかもしれません。

建設業界でも、建設需要の落ち込みが続くなか、
新規事業を通じて雇用を維持しようとする流れが強まり、
農業に参入しているというニュースを最近聞きます。
日本の農家の半分近くが70歳以上で、
体力的に続かないという理由で、離農する農家が多くありますが、
新規就農の数は、まだそれを補うほど伸びていないようです。
このままでは国内で農産物を作れない事態も心配されますので、
真剣に考えていかなければならない課題です。

現在、市場に出荷される野菜のほぼ100%がF1種と呼ばれる
一代交配の種から作られたものです。

F1種とは、自家採種を繰り返し繁殖力の弱くなった原種同士を掛け合わせた
一代目の種で、雑種強勢という現象のおかげで生長が早く、収穫量も増えます。
また、一卵性双生児のように粒揃いで、生長の速度も均一です。
一見ちょっと良さそうに聞こえますが、繁殖力の弱い一代限りの種子であるため、
F1種と同じ品質の種は採れません。

野菜の自給率は07年度で80%と一見高く感じますが、
実際はそのF1種という種を9割近く海外から輸入しているため、
実質的な自給率は1割足らずとも言えます。

安全性やエコを考慮した有機野菜や、無農薬野菜、
作り手の農家が分かる野菜などをこだわって購入する家庭が増えていますが、
これからはそれに加えて、野菜の品種にもこだわっていかなければなりませんね。
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