March 31, 2009

デザインの「圧力」と「濃度」

ここ最近は、グラフィックの仕事とインテリアの仕事が
パラレルに展開することが多いのですが、
実際思考回路がどう違っているのか、ふと考えてみようと思います。

意識的に思考をスイッチするわけではないのですが、
どこか違うようにも感じます。難しいことなので、
脱線することもあるかと思いますが、ブランディングを考える上で、
トータルにデザイン・ディレクションする上でとても大切なコトだと思うので、
この場を借りて随時考えていこうと思います。

ブランディングは
「タンクに入った溶液をどの照準に合わせて発射するのか?」
に例えることができると思います。
タンクの大きさ、つまり容量は資金力といった経済力といったところでしょうか。
デザインでカタチにできることは、タンクに入る溶液の「圧力」「濃度」です。

溶液の成分が効くもしくは必要としている位置に発射させるために
必要な「圧力」を掛けます。「圧力」は掛けすぎても飛びすぎてしまい、
的外れになりますし、掛けなすぎても垂れ流しになってしまいます。
巧いと思えるデザインは、この「圧力」の掛け具合が絶妙で、
目標地点に的中した場合です。

「濃度」にはまずどんな成分によって構成されている溶液の濃度なのか
ということが重要です。成分構成比は言わばコンセプトに当たると思います。
デザインのレシピです。
同じ小麦粉でパスタとパンが作れるように、同じ材料でも
料理法(アウトプット)の違いによってガラリと変わります。
最初から料理に例えれば分かりやすいかと思いましたが、
それだとその料理を誰にどう振る舞うかといった別のコードが発生して、
デザインの定義付けが難しいからです。
成分構成比で言えば、パスタとパンは水分や調味料の違いと言うこともできます。
また、「濃度」という言葉で浸透率についても
今後綴ることができると考えたからです。

アウトプットが異なる場合で考えてみると、
成分比率(前述で言えば料理法によって生まれる成分構成比の違い)
が異なってきます。
異なる成分比率(溶液の粘度の違いと言えばわかりやすい)で同じ場所に
発射するためには、異なる「圧力」が必要になってきます。
つまり、アウトプットの違いによって、同じコンセプトを用いたとしても
「圧力」の調整が必要なのです。

基本的には、デザインにおいて考えることはどのジャンルでも
共通していると思います。
ただアウトプットが多様な上でブランディングを考えていくには、
その異なるアウトプットを同じ地点に発射させる圧力差を調整するテクニック
必要なのです。
この「圧力」の加減ができることで、
はじめてトータルなデザインが可能になってくると思います。

March 27, 2009

「5mm」の違い

かなり長い時間作業に集中し疲労感を感じてくると、
ふとなぜこれほどまでに手間と時間をかけて図面を描き続けているのかと
思うときがあります。でもこの作業は手を抜くことができません。

5mmの段差

わずか5mmの形状の違いに全神経をとがらせ、
プロジェクト全体の文脈と照らし合わせ、
合理的であるか美しいかどうか何度も検討を行います。


デザインの方向性は関係者の納得するような筋道が通っているのか、
また建築という文化的な側面からも意味があるかどうか何度も考えます。
そしてなによりもクライアントのためになっているか、
喜んでいただけるかどうか考えます。
それは、ほんのわずかなデザインの妥協がデザイン全体の質を
大きく変えてしまうという失敗を経験したことがあるからです。

実際のプロジェクトでは、コストや施工的な条件により、
完成させたデザインの変更が必要になることがよくあります。
かつて、その対応で苦い経験をしました。
コスト調整から、ある部位の仕上材料を当初検討していたものから
別の仕様に変更したいという連絡があり、
それを口頭で確認し承認してしまったのです。
その材料はよく知っているものだったので口頭でも問題はないと判断したのですが、
実際に施工されたものを確認すると自分が思っていたイメージと微妙に異なり、
空間全体のデザインのバランスが崩れていました。
わずか5mmの段差が原因でした。

幸い、そのプロジェクトは最終的に残工事のコスト調整と交渉により、
その部分を変更し空間のデザインを保つことができましたが、
現場の空間に立ち空間全体のデザインが崩れてしまったと感じた時は、
数ヶ月もかけてきたプロジェクトが失敗してしまうという怖さと
クライアントに対し申し訳ないという気持ちでいっぱいになり、
精神的にとてもつらく苦しかったという記憶があります。

そのようなことがあってからは、どんなに細かなことでも最後まで検討をし、
確認を行うことにしています。

March 24, 2009

「サスティナブル」な人生と社会

あなたにとって「健康」とは何ですか?

オーガニックな食材を食べるとか、サプリメントを飲むとか、
朝ジョギングするとか、皆それぞれ意識的に何か心掛けているかと思います。
「健康」という指標は人それぞれで、いろんな健康があります。

私が昨日から始めた朝型のライフスタイルに変えたこととか、
自転車通勤をしていることとか「健康」そうなことをしていますが、
それ自体の行為が「健康」だとは思っていません。

私のなかで「健康」とは「サスティナブル(持続可能な)」
であることだと思います。食物はある生物の一部です。
外界から入ってくる分子とわたしたちの身体になる分子が毎日入れ替わっています。
つまり分子を保存するために食べているのではなく、壊しながら、
壊した分を絶えず新しいものに作り替えているのです。
生態系もそうなのですが、同じ物がただ循環しているのではないのです。
36億年前に地球に生物が誕生してから続いているとは、実に感慨深いことです。

そもそも「健康」とは当たり前のことですが、心身共に良い方向にあることです。
身体にどんなに「健康」によいことをしていても、
心が「不健康」なら全く意味がありません。
朝早起きしてランニングをしたからって、それが苦に感じていれば
「健康」ではないし、仕事の能率や成果が悪くなっても
それは「健康」とは言えません。

つまり今続けていることが「サスティナブル」な状態になって
初めて「健康」と言えると思います。
それは常に新しいモノやコトに変換され、
社会や環境のなかの循環の一部となって機能していくことだと思います。

昨今の世界不況も経済の循環が滞ってしまって引き起こされた状態です。
連鎖がひとつ断ち切られることで、それは大きな環全体に影響します。
流れを止めてしまうことで循環の不調和が生じ、
さまざまなことが起きてくるのです。
それは今の社会が「サスティナブル」ではなくなったことを
意味していると思います。

もうちょっと長いスパンで見て、今の不況が絶え間ない変化の連続のうちの
ひとつの変化であり、より「健康」になるために始めた
初日の早起きのようなものであることを祈りつつ、
自分も大きな環のなかの小さな輪っかの一員として
頑張りたいと思う今日この頃です。

March 23, 2009

「朝型人間」になろう

目黒側の桜が咲いていました。

まだ一厘咲き程度で、凝視しないと咲いているか気付かないくらいです。

今日からライフスタイルを一新しました。
それは朝型人間になるということです。
寝ている間に潜在意識が活性化するために、朝は脳が活発なようです。
文章を書いたり、書類を作るのも朝イチが適しているそうで、
午前中という効果的で貴重な時間を有意義に過ごすことにしました。

そんなわけで、今日から出社時間を7時にして、もう5時間ばかり頑張りました。
朝型になることで、いつもより早い時間に仕事の片が付きますので、
夜は人と会うこともできますし、良いことだらけな毎日を送ることが出来そうです。

今以上に積極的にいろんなことに挑戦していこうと思っていますので、
この朝型生活宣言を自分への決意表明としたいと思います。

March 20, 2009

「ティースプーン」

建築やランドスケープ、アートについては書物で調べたり、
時間がゆるせば現地に訪れて、見たり触れたりしているのですが、
それに比べるとプロダクトや家具については知識がたりないと感じています。
家具やプロダクトは日常の生活で使うものです。
それらのデザインは見た目の美しさやコンセプトの面白さだけでなく、
実際に使用し生活に新たな変化が起こるような体験をしてはじめて
デザインの本質が理解できるものだと思います。
(それは建築やランドスケープも同じですが・・・)
そのため購入してしばらく使ってみないとわからないのです。
つまり、お財布との相談になります・・・。
そんな中、お気に入りのものが見つかりました
「柳宗理さんのティースプーン」です。

柳宗理ーティースプーン

一般の方にも有名なカトラリーです、評判も良いのでここであらためて
詳細を書くことはしませんが、自宅でなんとなく使っていて気がついたら
すごく気に入ってしまいつねに使うようになってしまったので少し書きます。

・18-8ステンレスのつや消し仕上げが美しい。水滴の後や指紋等がつきにくい。
・軽いが手から離れない適度な重さ。
・厚みが部位ごとに異なる繊細な断面、自然と手になじみます。
・温かみがありどこかなつかしいような形状、
 口に入れた時もなめらかで心地良いです。

柳宗理ーティースプーン

このかたちをつくりだすまでに、多くのスタディを行い、
原寸モデルを何度もつくり検証していったことが想像できます。
また、完成した案を職人が製作する際にも多くの議論と試行錯誤が
おこなわれたことが想像できます。
それらを乗り越えて生まれたかたちは機能的で美しく洗練されています。
このデザインに対する姿勢は、建築を設計する作業にも通じると思います。

本来の用途とは違うかもしれませんが、
このスプーンでトウフにポン酢をかけて食べるのが好きです。
四角くて表面がなめらかなすこし暖色の白い塊のトウフに、
角がない絶妙なカーブのこのスプーンを入れ、
スプーンですくった後の窪みにポン酢をかけて黒い円形の模様をつくると、
彫刻のようなランドスケープに見えてきてとてもデザイン的です。

体の栄養補給と同時に目からも栄養補給という感じです。

March 19, 2009

媒体掲載のお知らせ

旭硝子株式会社のハローアーキテクト「アーキテクトルーム」に
弊社小林が執筆したコラム『「話す」という設計作業』が掲載されました。

年鑑日本の空間デザイン2009」に
ラザールダイヤモンドブティック銀座本店」が掲載されました。

JCDデザインアワード2008

March 18, 2009

「ド忘れ」

昨日の夜は腰がソワソワしてなかなか寝付けませんでした。
寝る姿勢がどうもしっくり来ないのです。私の場合毎日とは言えませんが、
通常毎日眠っている訳ですから、眠りやすい姿勢って身体が無意識に
記憶しているはずですよね。でも、実際はそうでもないようです。
試行錯誤して眠りやすい体勢を取ろうとするのですが、どれもしっくり来ない。
結局は、いつのまにか眠れましたので、今日も頑張れています。

いつも使っている言葉が急に思い出せなくなったり、何かをしようと思ったのに、
その何かが思い出せない。こういうことって誰でも経験があると思います。
これを一般に「ド忘れ」と言いますが、
この「ド」という部分が妙に気になりました。

ちなみに「ド忘れ」に辿り着くためには、
それ自体を思い出そうとするのではなく、手がかりを利用するのが有効なようです。
つまり「ド忘れ」はただの単純な「忘れ」ではない
「ド」という様々な手がかりを持っているのです。
勿論どんなことにも必ず手がかりはありますが、そこに「ド」が付くことで、
日常の生活にまで広く浸透しているような事象であるものへとなるのです。

あまり良い響きには聞こえない鈍くさそうな「ド」ですが、
日々の活動がこの「ド」に結び付く何かでありたいものです。

March 17, 2009

「小さな積み重ね」

大分温かくなってきましたね。

実は根っからの寒がりで、冬が何かと苦手です。
上着は着込めば良いのですが、足下の対策が難しく、
冬場は2枚のズボンを着用しています。
なんだかおじいちゃんぽいとよく言われますが、
自転車通勤なので、寒さには勝てません。
ですので、冬はゆったりめのパンツと細めのパンツ両方を買います。

そろそろ桜も咲きそうなので、明日から1枚履きにしようと思います。
温かくなって、ふと太陽を見ると大分日が長くなっているのにも気付かされます。
毎日少しずつ日照時間が長くなったり、短くなったりしている訳なのですが、
いつも急に変化しているかのように感じてしまう。
些細な変化とは見落としてしまいがちです。

小さな積み重ねって大事なことなんですね。
積み重ねって、日の長さがちょっとずつ変化しているのと同様、
やっている本人でさえもその結果が現れているのか実感できない。
結果が見えてこないから辞めてしまう。でも、続けていけば絶対ふと、
その成果を肌で感じることができるでしょう。

ようやく、ブログを書くのも習慣付いてきました。
半年後か1年後かもっと先のことかもしれないけれど、
今続けている些細な事が、自分をいろんな意味で一回り大きく
成長させていることに気付くのを楽しみに、続けていこうと思います。

March 16, 2009

「www.AHAFT.com」

サーバーにある WEBアクセスログ解析を見てみると、
過去に掲載された雑誌のリンクから訪れる方がコンスタントにいる事が分かりました。
特に「AHAFT」のサイトを紹介していただいた雑誌からのアクセスが多いので、
インターフェイス部分のみのデザインですが、アップしてありますので、
こちらを参照してください。

AHAFT(アハフト)ウェブデザイン

それにしても、5年前の雑誌にもかかわらず、未だにそれを見て
アクセスしていただける方がいるということに少しビックリしましたが、
それにしても雑誌というメディアの影響力って大きいんですね。

<掲載雑誌>
MdN 2003 OCTOBER vol.114
web creators 2004 MARCH vol.27
WEBデザインのネタ帖 2004 September
+81 VOL.28 / SUMMER 2005

March 15, 2009

最近ようやく判った「当たり前のこと」

本当に当たり前のことかもしれませんが、
私にはここ最近身体で実感したことがあります。
それは、「腹が減っては戦はできぬ」ということです。

事務所が青山なのでとても便利なのですが、
ひとつ困るのが「夕食をどうするか?」という点。
忙しいときに、さくっと食べられる定食屋さんのようなお店が少ないのです。
ランチは問題ないのですが、夜は大体のお店がお酒を振る舞うように
なってしまうため、まだ一仕事ある人間には向きません。

そうなると「仕事を終わらせてから、食べよう」ということになるわけですが、
実はこれがあまり良い結論ではなかったことが最近判ってきました。
お腹が空いていると、精神状態が良い方向に向いておらず、
集中力に欠けてしまうようです。まだ、3時間以上仕事をするのであれば、
食事に1回行った方が総合的に作業効率は上がるというのが私の見解です。

作業を途中で中断して食事に行くのは、非常に面倒に感じて
後回しにしようとするのも理解できますが、多分「お腹が空いた」と
身体が訴える時点で、「食事を摂れ」と無条件に命令を下されているのです。
「疲れていたら、休む」「お腹が空いたら、食べる」
「遊びたくなったら、適度に遊ぶ」
こういう当たり前のことって、当たり前のように素直に受け止めた方が
良い方に転ぶのだと最近は思っております。

March 14, 2009

「平滑さ」と「凹凸」

私達が生活している建築物の仕上げに注目してみると、
平滑なものと凹凸があるものに気がつきます。
建築をデザインする際、材料の表面が「平滑か」、「凹凸があるか」の
どちらを選択するかについて、その判断はとてもむずかしいことです。
そのことについて少し書いてみます。

壁の仕上材ー平滑

平滑な仕上げは、空間全体が洗練された印象となりデザイン性を高めてくれ、
比較的ローコストで施工可能なので設計者には比較的好まれる仕上げです。
ただこの仕上げは広い面積を施工した場合、
割れと汚れが目立ちやすいという問題があります。
それを防ぐには仕上材を性能の高いものとし、下地処理を適正に行えば
前述したような問題は軽減しますが、コストがかかります。
ただ、平滑なので汚れを掃除するのは比較的容易です。

壁の仕上材ー凹凸

凹凸のある仕上げは、人との距離により印象が変わります。
遠景では仕上げは平滑に近づいた印象となり、
近景ではその凹凸が表情を演出します。
光のあたりかたと距離により表情が変化する特徴があります。
凹凸の陰影で、平滑な仕上げよりも割れや汚れは目立ちにくいので
施工関係者に比較的好まれます。ただ凹凸の形状のためコストはかかり、
また掃除を行うのに手間もかかります。

平滑な仕上げは汚れたら再施工するというメンテナンスを継続していけば
問題はありませんが、海外と違い住まいのメンテナンスに対する日本人の意識は
低いのでメンテナンスの手間と費用がかかりすぎるとクレームが発生し
問題となってしまいます。そのため、それらの長所短所を考慮した上で、
前提となる設計条件からデザインを行い、
それらに対し最適な選択を行うことが必要です。

そのような理由から、仕上材料の表面形状の選択は判断がとてもむずかしいのです。

建築家になるには年月が必要とよくいわれます。
それは多くの知識と経験が必要な判断がとても多い仕事であるからです。
実際に実務経験を積んでみると、そういわれていることがよくわかります。

March 13, 2009

「デザインのバランス」

ウェブサイトには実際見えてくるビジュアル的な部分と、
そうでない部分があります。プロではないので詳しくは分かりませんが、
そのそうでない部分をデザイン(構築)することによって、
検索エンジンが表示する検索結果をある程度操作できるというのです。

実際プロジェクトが完了し、実際のカタチになるまでには、
様々なプロセスを経ています。ボツになってしまったアイディアもあれば、
予算の関係で思い通りのものにならなかったもの、また多くの要望によって、
その条件を満たすためにコンセプトの濃度が薄まり、
クリアに表現できなかったものなど様々です。
そういった一連のストーリーを知る関係者とそれを全く知らない第三者では、
情報量が違うため、同じ空間・物に触れた時の印象は異なってきます。

特に検索エンジンの場合は、分析するのはアルゴリズムというプログラム、
実際見るのは人間というプロジェクトの関係者と第三者以上の差があります。
こういうことって情報社会では、ウェブ以外でも至る所にありますが、
両者のバランスを取ってデザインするのは、非常に難しいことです。

勿論「SEO」対策をメインにすれば、
見えてくる視覚的なデザインも限定されてきます。
ちょっと調べてみたところ、サイト内で言えば検索キーワードが出現する率や位置、
フォントの大きさ・太さが重要なようです(他にも様々な技術があるようです)。
勿論テキストで検索する訳ですので、当たり前と言えば当たり前です。
ただ、これは実際人から見える意匠的デザインで解釈すれば、
写真や動的なものは適しないし、レイアウトさえもある程度決まってくる
オリジナルに欠けたものになってしまいます。

だからといって、検索しても全く引っかからないデザインでは、
どんなに意匠的に優れたデザインであっても誰も見てくれない
自己満足なサイトになってしまいます。
「SEO」対策に特化させるのもデザインだし、人間の目から見える、
または人間が体験することに特化させるのもデザイン。
でも、それを評価する側の指標によって、その評価は180度変わってしまう。
デザインという言葉が非常に広義であることを改めて感じます。

でも実際にはその両者の指標が相反しているのではなく、
むしろ同調しているという難しさがそこにはあるんですよね。


人間が創り出したネット空間だけあって、
人間の社会と似た構造に近づいている気がします。難しい世界ですね。

March 12, 2009

「目には見えてこないデザイン」

「SEO」とは皆さん御存知だとは思いますが、「Search Engine Optimization」の
頭文字をとったもので、「検索エンジン最適化」のことです。

勿論、「多くの人にサイトを見てもらいたい」「私たちのことを知ってもらいたい」
ということもあるのですが、
私が気になるのは、
そこには実際の目には見えてこないデザインがあるということです。

先日、約1年振りに五賓館にメンテナンスの打ち合わせに行ったのですが、
竣工後の空間より明らかに雰囲気が良くなっていたんです。
これは写真では伝わらない(多分、写真では竣工写真の方がキレイに見えるはず)
何かが育まれたからでしょう。
それは、スタッフやお客様の店に対する思い入れかもしれないし、
実際そこで料理人が仕事をするリズムのある包丁の音や料理の匂いかもしれない。
まさに人と空間の波長が合い、互いが増幅された時、
そういった現象が起こるのでしょう。
事実、お店を非常に大切に使ってくれていました。
それは設計した我々にとっても嬉しいことであり、非常に光栄な事です。

私たちが空間以外のグラフィックデザインを手掛けるのも、
空間は使われていく時間もデザインし続ける必要があると感じたからです。
また、個人的にもその時間を共有したいという思いもありました。
トータルにデザインすることは、その空間に係わり続ける、
それは店舗の設計、販促物の制作という分断されたものではなく、
一連のストーリーをデザインしていくことです。
そういったデザインは個々の仕事だけでは見えてこないデザインであり、
それが実は一番大切なことなんだと思っています。

March 11, 2009

「ラザールダイヤモンドブティック銀座本店」

ファサードデザインとショーケース内の小什器デザイン、店内ポスター等を
担当させていただいた ラザールダイヤモンドブティック銀座本店について
今日は書きます。

まず高級ブティックが建ち並ぶ銀座の中心地ということもあり、
季節によって装いを刻々と変える街並みを取り込み、
表情を変えていくようなファサードにしたいと考えました。
賑わいある周辺風景やライトアップされたビルや電飾看板等の眩い光が
パネルに映りこむことで、照りや反射・屈折といったダイヤモンドの持つ
イメージを顕現化させることができると考えたからです。

ラザールダイヤモンドファサード模型

そこで、敷地境界線とビル躯体との距離がほとんどない敷地条件のなか、
高さ15mmで統一した大小異なるサイズの多角錐形状の
アルミパネルの集合によってできた外装とし、
稜線の傾きが各々異なる多面体を無数につくり出しました。
幾枚もの多角錐形状のアルミパネルの高さは、
全て15mmの統一となっているのですが、形状・サイズが全て異なるため、
重心と各頂点を結ぶ稜線の傾きが各々異なります。稜線の傾きが各々異なることで、
映り込む街の風景や光が面ごとに全て微妙に異なってくるのです。

立体的な多面体ではなく、
ファセットのわずかな傾きによって生じる複雑な映り込み、
反射を抽出することによって、ダイヤモンドの透明感のある純粋で洗練された
イメージを引き出すことができたと思います。

ちなみに、多角錐形状のアルミパネル間には、赤色LEDと白色LEDが内蔵され、
プログラムによって赤から白へと緩やかに変化します。
ブランドのコーポレートカラーである黒(パネル)と赤(照明)を配したファサードと
金属パネルの重厚感、そして多面体に映り込み反射する多彩な光・像は、
ブランドの哲学を体現した外装となったと思っています。

March 10, 2009

「ドバイのプロジェクト」

店舗設計を担当させていただき、去年竣工したドバイのプロジェクトについて
今日は書こうと思います。

「創る」という行為は「壊す」という行為と表裏一体の関係にあります。
ファッションデザインという行為が新しい衣服のカタチの追求であり、
その提示である以上、そこには前衛的なデザインの出現があります。
このプロジェクトで空間に導き出したコンセプトは、『読み替え』。
現地のありふれた材料や工法を用いながらも、その使い方、
見せ方を変えることで、何か別の意味に変換してしまうことを試みています。
それは、我々が素材や空間に抱く一般的なイメージを解体し、
再構築する行為と言えるでしょう。
そういった行為は、先入観とも言えるブランドイメージを払拭し、
ブランドそのものが本来持つアバンギャルドな主張を
前面に出すこととなると考えました。

ドバイの内装プロジェクト
「砂漠の砂左官」
国土の大部分は、平坦な砂漠地帯であるドバイという地において、
最も安易に安価で手に入る建築材料は砂漠の砂です。
地場の自然素材しか使えなかった時代には、
風土に根ざしたその土地固有の建築が造られ、
それがその土地固有の風景を生み出していました。
風土という言葉は、グローバルな現在は風化しており、
都市生活の環境は、その差がなくなってきているのが実情です。
しかし、本来の建材はその風土と密接な関係を持った材料であるべきだと思います。
今回はその砂を左官材として空間全体に使用しました。
現代のマテリアルといえるハイテック樹脂を用いた半透明の什器と
現地の建築で最もプリミティブな砂。
未来の素材と根源の素材との調和、相反する素材の組み合わせから生まれる力は、
アバンギャルドな主張を前面に出すこととなると思います。
未来と根源の調和、相反するものから生まれる力・創造、
完成されていない荒削りなもののみが放つ強さは、より光を放ち、
強いメッセージを表すこととなるでしょう。

砂壁(左官壁)は、塗りによって層を重ねていきます。しかし、絶対的な約束事は
ほとんどなく、塗り回数を増やしたり、減らしたり、手間をかけたり省略したり、
途中で仕上げをやめておくことも勿論可能です。重ねて塗ることが容易なため、
砂絵などの模様や、二色に分けて模様を付けることも可能です。
つまり、砂壁は永遠に未完成なものであり、だからこそ美しく、強い光を放ちます。
ファッションは変化するものであり、変化していくからこそ魅力があると思います。
砂壁も同様、随時、破壊と構築を繰り返すこととなるでしょう。

March 6, 2009

「越後妻有アートトリエンナーレ2000」その1

ホームページに「Scaping Objects」をアップしました。
過去に時間をかけて考えたことは、
今現在、物事を考える際の礎になっていると思いますので、
当時をふりかえり頭の中を整理してみます。
まずこのアート作品が制作された経緯は以下です。

越後妻有アートトリエンナーレ2000
・「越後妻有アートトリエンナーレ2000」公募作家に選出される

10年前(まだ建築学科の大学院生でした)
「越後妻有アートトリエンナーレ2000」の公募作家に応募し、
書類審査、公開プレゼン審査を経て公募作家に選出されました。
公募作家はトリエンナーレ会期中に作品を実際に制作し発表するのですが、
私が提案した案は実現するには多くの問題を抱えていました。
それは会期中に作品の設置や回収というパフォーマンスが必要なため、
パフォーマーが必要なことや、技術的にどう制作するか、
制作費をどのように捻出するか、現地での滞在場所はどうするか等の問題であり、
大規模なアート作品を制作したことのない私にとって難問ばかりでした。
そこで当時、同じ渡辺真理研究室に所属していた信頼できる友人達に
公開審査直前に協力をもとめ計6人でLUXというグループを結成し、
制作を行う体制を整えました。
試行錯誤しましたがほぼ原案通りに実現することができ、
公募作家の中から選考されるグランプリを受賞することができました。

建築学生はどうしてもアイデアが机上で完結してしまいます。
明快に趣旨を説明することや模型を制作する訓練はするのですが、
個人として責任をもち実社会と直接向き合う機会は少なく、
またある規模のものを実際に制作する機会もほとんどもつことができません。
また世の中にないものを制作するには協力者を募り協議しつづけることが必要で、
強い信念と労力がもとめられます。
実際に実務で建築が竣工するまでには当然のようにもとめられるこれらの作業を、
学生のうちに経験できたことはとても貴重でした。

「越後妻有アートトリエンナーレ2000」その2

March 5, 2009

「ミッソーニ表参道店」

先日ミッソーニ表参道店を友人が見に行ってくれたのですが、
「天井が壊れていますよ!」とショップスタッフの方に言ったそう
(多分冗談交じりだったとは思いますが・・・)です。
ショップスタッフの方は「そういうデザインなんです。」
と丁寧に対応してくれたそうですが、
ここでは友人への説明も兼ねてデザインコンセプトについて書こうと思います。

ミッソーニ表参道最終CG
国内はもとよりアジア圏を含めたエリアの旗艦店として、
「ミッソーニ」の世界観を体現する新たなストア環境をコンセプトに据えた
「ミッソーニ表参道」が10/7にリニューアルオープンしました。
「我が家にお招きするような温かいお店創り」をコンセプトに
細部のディテールに至るまで、クリエイティブディレクターの
アンジェラ・ミッソーニの持つ世界観を反映させて、設計を行いました。

素材やカラー、パターンを追求したブランドのコンセプトを
さらに色濃く演出するため、シンプルな空間としながらも、
人に何らかのインプレッションを与えてくれる体験的なエッセンスを
持ちえたデザインにより、空間と商品をつなぎ合わせることで創り出される
新たな形を模索しました。
床や壁・天井の色やフォルムの美しさということではなく、
マテリアル、形態は主張せずとも、
空間と商品による相乗効果から導き出されるストア全体のイメージは
より強いものとなり、空間は商品の背景となり、
「ミッソーニ」の世界観のみが広がる空間を創り出すことができます。

ビル躯体による天井高が低いデメリットを少しでも改善するため、
ミッソーニ社のコーポレートカラーであるブラウンとホワイトを基調とした
穏やかな色遣いとし、壁や什器のコーナーに丸みを付け、
天井に間接照明を効果的に設けることで、
圧迫感を軽減した広がりのある空間としました。
間接照明によるやわらかな光に溢れ、
人の心にすっと入り込むようなニットのようにやわらかくて、
ゆるやかで感覚的な感じは、
ゆったりとした時間の流れる心地よい空間を演出します。
マテリアルはそれらライティングの効果を生かし、
光の反射や陰影によって多彩な表情を見せてくれるような
ディテールとなっています。
あくまで商品の背景となるように細心の注意を払いながらも、
商品を伝える増幅装置となるようなものとしました。
床材は、金属粉を主体とした左官仕上とし、
目地のないシームレスな床を創り出すと共に、
素材そのものの持つ色彩でミッソーニ社のコーポレートカラーのブラウンを
表現しながら、磨かれた部分は金色に輝くラグジュアリーなものとしました。
壁材は、白の塗装を微妙に使い分け、空間のゾーニングを明確化させながらも、
幾何学模様のパターンが光によって浮かんで見えたりと、
床材同様ブランドのアイデンティティーをさりげなく印象付けています。
それらマテリアルによって生み出される空間は、
自然にコレクションを見て回る楽しさを助長させ、回遊性を生み出します。

表参道と店内を繋ぐ立体的なエントランスホールと店内の天井傾斜パネルは、
道行く人に異なる視点を与えます。
表参道という高級ブティックが建ち並ぶなかで、多角的な視点を持たせることは、
逆にブランドの存在感を十分に表現できることとなり、
新しい「ミッソーニ」のブランドイメージを体現する店舗が
実現されることになったと思います。

ミッソーニ表参道初期案模型
「天井が壊れている!」意味が分かってもらえたかと思います。
特にこの店の床レベルは坂になっている表参道より1mほど高くなっています。
そのため、道行く人の視点は天井が多くを占める訳ですから、
天井高が低い問題と併せて、天井のデザインが必要となった訳です。
気持ちよい空間なので、入るのは少し勇気がいるかもしれませんが、
ぜひ行ってみてください。

March 4, 2009

「竹の子まんじゅう」

今日は、店舗デザインからロゴ、販促物等までトータルにデザインをさせてもらい、
昨年春にオープンした飲食店「五賓館(ごひんかん)」
メンテナンスの打合せに訪れました。
ひさしぶりに訪れた五賓館は約1年前とくらべ
とても雰囲気のあるお店になっていました。
店内は清潔感にあふれ丁寧にお店を使っていることが伝わってきました。
とてもありがたいことです。

五賓館は和と洋の料理人が厨房に立ちお客さんと会話しながら
オリジナルの創作料理をふるまうコンセプトのダイニングバーで
隠れ家っぽい雰囲気のあるお店です。
JR蒲田駅前は小さな飲食店が立ち並びかなり雑多な雰囲気ですが、
その中にあって五賓館は少し落ち着いて飲食ができる場所になっています。
料理長に話を聞くと少しずつ常連のお客さんも増えてきているそうです。

ランチもやっていて今は日替わりで3種類あり、
それほど大きくない店内は近辺のオフィスで働く会社員のお客さん達で
すぐいっぱいになってしまうそうです。
僕らもランチに行きたいと思うのですが、
蒲田は表参道のオフィスから少し遠いのでまだその機会をもてていません。

打合せの際、カレーと手作りのお通し、
夜のおすすめメニューの「竹の子まんじゅう」をごちそうになりました。
とてもおいしかったです。
オフィスがもう少し近ければよかったのに・・と思いました。

五賓館の竹の子まんじゅう
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