February 9, 2010

「よい住まい:#2 光の高さ」

今日は住まいの「光の高さ」について書きます。
光といっても照明光ではなく自然光についてです。
家は人が生活を行う空間ですが、その機能を除くと
単に屋根と壁で囲まれた閉じた空間(箱)です。
何もしなければ箱の内側は光の届かない暗い空間です。
そこに光や風を取り込むための窓(開口部)という装置(技術)を用いて
はじめて人が住まうための室内空間(インテリア)が生まれます。
建築をつくる作業ではこの光(開口部)をつくるという作業はとても重要です、
この違いにより室内空間は全く異なってしまうからです。
建築とはこの光を操作することだと考える建築家もいるくらい、
空間の質に影響を与えます。
少し話が脱線しました、今日のテーマの「光の高さ」に話を戻します。
結論から言うと高い位置の光や低い位置の光など、高さに違いのある光
ある家はよい住まいだと思います。
異なる高さの開口部から入る自然光によって室内空間は時間とともに様々に
変化する魅力的な空間となります。

少し説明をします。
南面にひとつだけ窓のある部屋があるとします。
窓高さは床から自分の身長ぐらいまでです。
太陽光はつねに斜め上方から射してくるので窓直上の壁や天井は
直射光のあたらない暗い部位となります。
ですが室内の大部分は明るくなります。

よい住まい「高窓」 それに対し天井に近い位置の窓をつくると暗くなるはずの天井面に
光の照り返しなどで窓から光があたり天井面も明るくなります。
逆に床に近い位置の窓をつくると室内の壁や天井の大部分が暗くなりますが、
自然光が床に反射し壁や天井をぼんやりと照らすので
外光の光の強弱の変化が室内の光の変化としてよく見えます。

ここまで窓の高さにより室内の光の印象に違いがあることを説明しました、
では窓の高さが一定にそろうと室内空間はどうなるでしょうか。
例にあげたような光の印象が家のどこにいっても続くことになります。
一定というと安定してよいように感じますが、裏を返せば単調で退屈な状態です。
住まいには快適な生活ができるよう一般解としての窓の大きさや高さがあります。
腰の高さから頭上くらいまでの腰窓や床までのはき出し窓がそれで、
ほとんどの住まいはこの2種類の窓の組み合わせになっています。
室内に十分な採光と通風を得ることのできる優れた開口ですが、これらの窓の
組み合わせとなると室内の光は単調になり退屈な印象となってしまいます。

やはり毎日過すなら、光の変化を感じる魅力的な空間に住みたいですよね。
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