December 30, 2009

「土いじり」

陶芸
少し前に陶芸をたしなんだのですが、肌で感じる土の気持ちよさには癒されます。
左官のマテリアル感は好きで、壁や床によく使っていますが、
イメージ通りのサンプルが出来るまでは、
結構な数のサンプルの山が出来てしまいます。

それだけ、材料と職人さんの技で、無限の表情を作り出すことができる土ですが、
なかなか柔らかい生の土を自分で触ることはなく、こういう機会に巡り会うと、
また新たな土の魅力に気付きます。

インテリアデザインでは、エイジングと呼ばれるあたかも時が経過することによって
建築物などが経年変化・経年劣化したように見せる技術があります。
ピカピカの綺麗なモノより、アンティーク風な仕上がりの方が、風合いがあり、
お店や商品の雰囲気にマッチすることもあって喜ばれる方も多いです。

私もアンティーク家具は、普通にかっこいいと思いますし、
歴史的な古い建物を見ると感動し、こんなものを作ってみたいなぁと強く憧れます。
でも、同時に今こんなものを作ってみても所詮・・・風にしかならないという思考も
生まれます。

私を含めて皆さんが古い良きモノを見てきたから、
エイジングされた新装のインテリアを見てかっこいいと思うわけで、
全くそういうモノを見ていない人がそのインテリアを見たら、
180度違った反応をするかもしれません。

錆びた鉄とか古びた木材がマテリアルとしてかっこいいと感じるのは、
ただ純粋にその質感が良いのか、アンティークの持つ時間の流れを汲み取った中で
良いと感じているのかまだ分かりません。
でも、・・・風ばかりでは、テーマパークと変わらないという危惧感もあります。

左官や漆喰といった土を使ったマテリアルは、
アンティークの持つ風合いの良さを持ち、
エイジングの持つ・・・風な危惧感を拭い去る素材だと思います。
しかも日本の風土・文化に深く根付いているものですし、
自然素材としての魅力もあります。

土を触ると癒される土本来が持つ温かさに、職人さんの手仕事によって
さらに温かさを増す左官や漆喰といった仕上げは、
これからもっと挑戦していきたいと思います。

陶芸は楽しいですよ。
思い通りのカタチにならない不器用な自分と向き合うと、
多くの方に助けていただいているから今の自分があるのだと実感します。

今年も皆さん本当にお世話になりました。
来年もまた宜しくお願いいたします。

December 26, 2009

「床暖房とリフォーム」

床暖房を新しく設置したいと思ったとき、どのような仕様を選ぶのがよいでしょうか?
床暖房には今現在、多くの種類があり目的や条件によって適する仕様が異なります。
そのため単純にどれがいいというような判断ができません。
各社メーカーのカタログや営業マンの説明をすべて聞き比較しても、
床暖房を設置する空間で各仕様を実体験して比べることはできないので、
本当に何が適しているかはよくわからないというのが実際のところだと思います。

私は実務の設計業務をはじめて約10年経ちました。
木造住宅、鉄骨造の住宅、RC造の住宅、それらの混構造の住宅、
中規模マンション、大規模マンションを実際に設計し、
竣工後生活をされたオーナー様からの報告やその空間で床暖房の効果を実際に
自分が体験した経験があって、ようやく最近自分なりに適正な判断が
できるようになってきたと思えてきたくらいですので、
一般の方がどんなに調べても判断ができないのは仕方がないと思います。

また、施工場所についても北海道や東北地方の住まいを設計した経験をすると、
暖房の考え方はより明快に判断ができるようになる気がします。
私も北海道や北関東の住まいを設計したあとでは暖房や冷房の考え方が変りました。

床暖房の選択には様々な実務経験があり、自分が信頼できる設計者をみつけて相談し、
判断をするのをおすすめします。先日、工事が完了したマンションリノベーションでは
フィルムタイプの電気式床暖房を採用しました。

私がかつてお世話になったオーナー様がその商品を扱う企業の社長様と
知人だったこともあり、商品の特徴や性能に優れ、
コストパフォーマンスも抜群なこの仕様を採用しました。

床暖房とリフォーム
床暖房とリフォーム
少し前まではフィルム式床暖房の実績はまだ少なく信頼性にかけたので
採用しなかったのですが、今現在は実績も増え、評判もよいので採用しました。

マンションのリノベーションやリフォームでは、
遮音性の問題から床仕上げの厚みに制限があることが多く、パネルタイプの
電気式床暖房やガス式床暖房等は施工が難しいことが多いです。
そのためフィルムタイプのような厚みが1mm程度しかないものが適しています。
また、リビングなどの部分改装の場合には局所的な暖房になるので電源を入れて
早く暖かくなるものが適しています、そして欲を言えば遠赤外線効果があり、
サーモの温度調節により最低限必要な電気利用となるものが
ランニングコストから考えておすすめです。

あとは、建築空間の断熱性能を向上させれば室内の暖房環境はかなり改善されます。
足裏が暖かいのが嫌いでなければ床暖房は快適な暖房だと思います。
嫌いな場合は輻射熱暖房がおすすめですね。

December 17, 2009

「すれちがい通信」

みなさんはクリアしましたか?
「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」

私は「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」以来のドラクエで、
最近ようやくクリアしたのですが、久々にゲームを楽しませてもらいました。
「すれちがい通信」という機能を体験するために、購入したのですが、
この機能には、今の現代社会の新たな繋がりを感じました。

すれちがい通信とは、携帯型ゲームにおいて、ゲームの進行などに影響を与えるための
他のプレイヤーとの通信を、ゲーム機同士が自動かつ瞬時に行う機能・サービスです。
秋葉原の新名所「ルイーダの酒場」というすれちがい通信を楽しむコーナーが
出来たほどの人気です。

終電の電車の中、一日の仕事終え帰路につく者、会社の同僚と飲んで帰る者、
いろんな見知らぬ人が同じ車両の空間を共有しています。
みなさんゲーム機を手にしている様子もなく、
ましては終電まで働いているような人が多いなか、
ゲームなんてしてないだろうという勝手な思いこみをしていた私ですが、
いざすれちがい通信をしてみると、多くの人が私と同様、
鞄の中ですれちがい通信を楽しんでいました。

twitterやmixiなどを楽しんでいる人は多いかと思いますが、
基本的には知っている人、知りたい人との繋がりです。
このすれちがい通信は、誰かも分からないまま、ゲームの世界のみの繋がりです。
ただ、この繋がりが私には小さな幸せのような感じがしました。
占いとか興味はないし、信じてはいないけど、
ふと目にした今日の運勢が良いとちょっと嬉しくなるような小さな幸せです。

自分と同じように遅くまで働いている全く見知らぬ人が、
実は自分と同じようにすれちがい通信を楽しんでいるという事実。
知らない人だけど、そんな人とゲーム上で繋がることで、
私は知らない人から小さな幸せをもらい、
私はその知らない人に同じ小さな幸せをあげている。

見知らぬ人同士が普段こんなに接近することはないという距離感に置かれる
電車という不思議な空間。
たまたま同じ時間に同じドアから電車に乗り込んだだけの関係。
そんな人たち同士が同じ小さな幸せを互いに与え合っている関係が
とても微笑ましく感じます。

December 15, 2009

「あと少しで竣工です・・」

報告が遅れてしまいました。
リノベーションプロジェクトは順調に進んでいます。
既存の内装を解体すると設計段階では予期しないような条件が多々現れます。
それに迅速に対応しつつデザインをしていく作業がリノベーションの現場段階の
作業ですが、ここ1ヶ月ほどその作業に追われています。
日々変更が生じるのでなかなか大変ですがその反面、新たな発見があるので
おもしろい作業です。

インテリアスケープ
インテリアスケープ
今日は施工され仕上がってきた天井の一部分の記録写真をアップします。
わかりにくいと思いますが、段差のある部分の角をなくし曲面とし連続させた
天井面を撮影しています。
段差部のエッジを曲面にすることで影の境界線をなくし、ゆるやかな影という
インテリアスケープ(室内風景)をつくることにしました。

以前、マンションリノベーションにおける梁の大きなボリュームの問題について
ブログを書きました。
このプロジェクトはそれに対するひとつの解答になると思っています。
またこのプロジェクトは他にもいろいろデザインのしかけをしています。
あと少しで竣工なのでがんばります。
来年になりますが完成したらホームページにアップしたいと思っています。

December 10, 2009

「きれいなドローイング」

この仕事をして良かったなと思うのは、実際空間が出来上がり、
クライアントの方の満足そうな笑みを浮かべた傍らで
その空間の中に自分の身を委ねたとき、
そしてプレゼンテーションで自分のイメージを伝える
きれいなドローイングが出来たときです。他にも色々ありますが、
私がその気持ちを特に噛みしめるのはこの2つかなって思います。

日々の仕事は、すごく地味で図面を描きながら、悪戦苦闘の毎日で、
プレゼンテーション前は徹夜続きですが、この瞬間だけは格別です。

イメージを伝えるのは、とても難しいです。
自分の頭に描いたイメージをビジュアル化するのでさえ、
何年やっても難しいです。
私の場合、頭に浮かんだイメージは、どちらかというと雲みたいな
フワフワしたもので、いざ、カタチにしてみると描いたイメージと
ちょっと違うものが出来てしまったりします。
これは、自分がその空間に身を委ねたときの雰囲気というか
感覚的な部分まで含んだイメージであり、
模型やCGを作ってみると空気感が違っていることに気付くのです。
その違いは、素材の仕様かもしれないし、細かなディテールかもしれない。
検討に検討を重ねて、自分のイメージ通りに仕上がったビジュアルは、
とても説得力のあるものとなります。
そんなビジュアルが出来れば、プレゼンテーションもきっとうまくいくだろうし、
立ち上がる空間もうまくいくはずです。

クライアントに喜んでいただくことが何よりですが、
そのための伏線となるプレゼンテーションのビジュアル。
そのビジュアルが納得のいく仕上がりとなったとき、
このプロジェクトが将来実現し、プロジェクトに関わった皆さんが
ハッピーになる未来を見据え、心の中でガッツポーズをしてしまいます。

December 4, 2009

「表参道のイルミネーション」

幾つかの大きなプレゼンテーションのため、ブログの更新ができないうちに、
いつのまにか「更新しないでいいや」という甘さが芽生え、
更新しなかった時間が更新のハードルをどんどん高くし、
気がつけば年末となっていました。

チェックしてくださっていた方すみません。
とにかくまた書き始めますので、よろしくお願いいたします。

表参道のケヤキの葉も散り始めたようで、
毎朝落葉を掃いている人を見掛けます。
イルミネーションは、22時には消灯されているようで、
こんなに近くにいるのにまだ見れていませんが、
点灯の2週間くらい前から夜間は高所作業車が入り、
ひとつずつ寒い中作業をしていました。
自分が考えている以上に大変な作業のようで、
一晩に1作業車で2〜3本くらいしか進んでいないのがそれを物語っていました。

ケヤキのLEDが消灯後も表参道ヒルズのエントランスのイルミネーションは
付いているので、そこで多くの方が写真を撮っているのを目にします。
聞けば11年ぶりの復活のようで、盛り上がっているようです。
ライトアップされたディオールの紅いボリュームは、
いつもの外観からは想像できないまた違った表情となっています。
それにしても女性は、本当にキラキラしているのが好きなんですね。
イルミネーション以上に、女性の瞳がキラキラしている姿を目にする
今日この頃です。

December 1, 2009

媒体掲載のお知らせ

商店建築2009年12月号」に
ラザールダイヤモンドブティック銀座本店」が掲載されました。

商店建築2009年12月号
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