December 10, 2009

「きれいなドローイング」

この仕事をして良かったなと思うのは、実際空間が出来上がり、
クライアントの方の満足そうな笑みを浮かべた傍らで
その空間の中に自分の身を委ねたとき、
そしてプレゼンテーションで自分のイメージを伝える
きれいなドローイングが出来たときです。他にも色々ありますが、
私がその気持ちを特に噛みしめるのはこの2つかなって思います。

日々の仕事は、すごく地味で図面を描きながら、悪戦苦闘の毎日で、
プレゼンテーション前は徹夜続きですが、この瞬間だけは格別です。

イメージを伝えるのは、とても難しいです。
自分の頭に描いたイメージをビジュアル化するのでさえ、
何年やっても難しいです。
私の場合、頭に浮かんだイメージは、どちらかというと雲みたいな
フワフワしたもので、いざ、カタチにしてみると描いたイメージと
ちょっと違うものが出来てしまったりします。
これは、自分がその空間に身を委ねたときの雰囲気というか
感覚的な部分まで含んだイメージであり、
模型やCGを作ってみると空気感が違っていることに気付くのです。
その違いは、素材の仕様かもしれないし、細かなディテールかもしれない。
検討に検討を重ねて、自分のイメージ通りに仕上がったビジュアルは、
とても説得力のあるものとなります。
そんなビジュアルが出来れば、プレゼンテーションもきっとうまくいくだろうし、
立ち上がる空間もうまくいくはずです。

クライアントに喜んでいただくことが何よりですが、
そのための伏線となるプレゼンテーションのビジュアル。
そのビジュアルが納得のいく仕上がりとなったとき、
このプロジェクトが将来実現し、プロジェクトに関わった皆さんが
ハッピーになる未来を見据え、心の中でガッツポーズをしてしまいます。