「ガラス」
それほど材料の知識を持っていないことに気付き、
調べてみたら非常に興味深い素材だったんです。
ガラスとは広義には、溶融状態にある液体を冷却するとき、
一定の凝固点を示さずに凝固する非晶質(アモルファス)の固体の総称とあります。
一般に硬くてもろく、加熱すると軟化し、一定の融点を示さずに
徐々に粘性を失って液体状態に移行します。
宙吹き法(軟化したガラスを宙空で吹き竿を吹いて成形する技法)は
観光地等で体験している方も多いと思いますが、確かにドロッとしてましたよね。
私は小樽ガラスと琉球ガラスで体験がありますが、
なんかただ無理矢理吹かされているだけで、体験学習としては
あまり良い思い出ではありません。
もうちょっと「自分で作ったグラス」と言えるぐらいは、
自分の手でやらせてもらいたいものですよね。
話が逸れましたが、その「アモルファス」という状態がとても気になります。
合成樹脂や天然ゴムなどの高分子化合物もこういった状態を持っている物質であり、
実は身の回りに結構あります。
すでに82年間も実験中で、あと100年は続くと言われているギネスにも認定された
世界最長の実験「Pitch Drop Experiment(ピッチドロップ実験)」があります。
ピッチ(植物性の天然樹脂や、化石燃料由来のものを含め、
固体に近いふるまいをするほど粘度の高い液体)の滴下実験です。
漏斗にピッチ(歴青)を注ぎ、そのピッチがゆっくりと流れ落ちるという
単純な実験ですが、10年に1滴程度大きな滴となって落ちているそうです。
これまでの実験の成果から、このピッチは水の約1000億倍
(マヨネーズは水の1万倍程度)の粘度である事が計算されているそうです。
この固体のようでいて、液体であるという微妙な状態、
不動の固体として認識していた物が実はゆっくりと流れていて、
徐々に姿を変えていくというのは、
コミュニケーションの媒体として可能性が高いと感じています。