April 3, 2009

「Air」

先日地元で有名な洋菓子店のロールケーキを食べてみました。
いつも売り切れでないのですがその日は1本残っていたので購入しました。
ロールケーキは1本の長さが20センチ程度で標準的な円柱のかたちです。
まあ、普通です。

ロールケーキ全景

洋菓子にくわしくないので詳細なことはわかりませんが、これはかなりおいしいです。
これまで食べたロールケーキはいったい何だったのだろう・・
と思うほどの違いがありました。

スポンジがこのうえなくやわらかくフワフワで、クリームはしつこくなく軽い。
空腹であれば1本食べることができそうな軽さです。
おそらく空気の混入のバランスが絶妙なのだと思います。
スポンジケーキもクリームもAir(気積)を適度に蓄え円柱のかたちを保っています。
また余計なものは入っていなくて、シンプルですが味に豊かさがあると感じました。

ロールケーキ断面

このロールケーキには建築的な魅力もあります。
Air(気積)の形状をバランスよく配置しある全体形をつくるという作業は、
建築的な作業です。
高い、低い、広い、狭い・・といった空間に対する印象は、
Air(気積)の配置やそのバランスにより生じるので、
無理なく無駄なく丁度よいバランスをデザインします。
このバランス感覚が設計ではとても重要だと思いますが、
このロールケーキはそのバランスが絶妙なのです。

また、余計なものが混じることなくシンプルだけれども、
豊かさがあるという点も建築的です。
人が生活をするために使う建築には過剰な機能や装飾はいらないと思いますし、
空間のかたちは必然性や合理性から生まれるべきだと思います。
同時に空間は豊かであるべきです。
その空間に立ったとき人が日々健康的に楽しく生活していけるようなイメージを
持てることが大切です。このケーキはそんなイメージをもてます。

いろいろ書いてみましたが単純においしいので見つけたら食べてみてください。
「ニシキヤの世田谷ロール」です。