March 12, 2009

「目には見えてこないデザイン」

「SEO」とは皆さん御存知だとは思いますが、「Search Engine Optimization」の
頭文字をとったもので、「検索エンジン最適化」のことです。

勿論、「多くの人にサイトを見てもらいたい」「私たちのことを知ってもらいたい」
ということもあるのですが、
私が気になるのは、
そこには実際の目には見えてこないデザインがあるということです。

先日、約1年振りに五賓館にメンテナンスの打ち合わせに行ったのですが、
竣工後の空間より明らかに雰囲気が良くなっていたんです。
これは写真では伝わらない(多分、写真では竣工写真の方がキレイに見えるはず)
何かが育まれたからでしょう。
それは、スタッフやお客様の店に対する思い入れかもしれないし、
実際そこで料理人が仕事をするリズムのある包丁の音や料理の匂いかもしれない。
まさに人と空間の波長が合い、互いが増幅された時、
そういった現象が起こるのでしょう。
事実、お店を非常に大切に使ってくれていました。
それは設計した我々にとっても嬉しいことであり、非常に光栄な事です。

私たちが空間以外のグラフィックデザインを手掛けるのも、
空間は使われていく時間もデザインし続ける必要があると感じたからです。
また、個人的にもその時間を共有したいという思いもありました。
トータルにデザインすることは、その空間に係わり続ける、
それは店舗の設計、販促物の制作という分断されたものではなく、
一連のストーリーをデザインしていくことです。
そういったデザインは個々の仕事だけでは見えてこないデザインであり、
それが実は一番大切なことなんだと思っています。