July 2, 2009

「種」

食料自給率40%(平成19年概算値)の日本が、これから訪れる食糧難の時代に
生き延びていく道は残されているのでしょうか?

国内で生産できなければ、もちろん輸入するしかありません。
しかし途上国の人口増加と経済発展で食生活が変わる一方で、
温暖化や異常気象の影響で収穫量が減少すれば、
農産物の輸出国でも国内需要を賄うのが精一杯になり、
日本はお金があっても買えなくなる日が来るかもしれません。

建設業界でも、建設需要の落ち込みが続くなか、
新規事業を通じて雇用を維持しようとする流れが強まり、
農業に参入しているというニュースを最近聞きます。
日本の農家の半分近くが70歳以上で、
体力的に続かないという理由で、離農する農家が多くありますが、
新規就農の数は、まだそれを補うほど伸びていないようです。
このままでは国内で農産物を作れない事態も心配されますので、
真剣に考えていかなければならない課題です。

現在、市場に出荷される野菜のほぼ100%がF1種と呼ばれる
一代交配の種から作られたものです。

F1種とは、自家採種を繰り返し繁殖力の弱くなった原種同士を掛け合わせた
一代目の種で、雑種強勢という現象のおかげで生長が早く、収穫量も増えます。
また、一卵性双生児のように粒揃いで、生長の速度も均一です。
一見ちょっと良さそうに聞こえますが、繁殖力の弱い一代限りの種子であるため、
F1種と同じ品質の種は採れません。

野菜の自給率は07年度で80%と一見高く感じますが、
実際はそのF1種という種を9割近く海外から輸入しているため、
実質的な自給率は1割足らずとも言えます。

安全性やエコを考慮した有機野菜や、無農薬野菜、
作り手の農家が分かる野菜などをこだわって購入する家庭が増えていますが、
これからはそれに加えて、野菜の品種にもこだわっていかなければなりませんね。