May 1, 2009

「小ささ」と「つぎはぎ」

今、進めている住宅のプロジェクトの敷地には使われていない
古い木造の家があります。
解体にも費用がかかるので長くそのままにしてあったようです。
新しく家を建てるので、その古い家は解体されることになりました。
(先月末に解体が完了したので、すでに存在しておりません。)
その家について少し書いておきます。

小屋
気になったことは2つあります。
建物の「小ささ」と、外装の「つぎはぎ」です。
少し前の時代ではごく普通であったサイズだと思います。
尺寸法でつくられた開口部や屋根や階高の低さは、現代の住宅に
見慣れている立場からするととても小さく感じました。
その小ささに親近感がわきました。

外装は、表面の起伏の異なる材料が無秩序に張り付けてあります。
年月の経過とともに老朽化し、必要に迫られその時に入手しやすい
安価な材料が継ぎ足されてきたのだと想像できます。
また、それらの汚れや腐食が目立ってきたので塗装を行ったのでしょう。
この場当たり的な施工と塗装、そして自然な老朽化と腐食により生まれた
「つぎはぎ」が嫌悪感を抱かずに、ひとつのまとまりあるデザインに見えて
不思議です。

小屋
建築では、前者はプロポーションという要素で、後者はテクスチャーという
要素に関係します。
意識はしていませんでしたが今進めているプロジェクトでは、そういった
要素に少なからず影響をうけた設計をしている気がします。