June 4, 2009

「現実逃避」

高校時代の頃、よく部活の休みを使って友人達と
「現実逃避」と称した会を開いておりました。

現実逃避
「現実逃避」と聞くと、少し危険な香りがしますが、
至って健全なアウトドアでの宿泊会です。
都会の喧噪から離れた場所で、文明に頼らず、自然を楽しもうといった趣旨です。

釣り竿と調理器具等を各自が持参し、食材を現地調達して、蚊に刺されながら、
または寒さに震えながら一夜を過ごしていました。
釣り好きから始まった会でしたが、釣り以上に、普段は感じない闇と静寂の恐怖や、
自然と対峙するのが妙に新鮮で、朝にはボロボロになるのだけれども、
エンターテイメントとは違った面白さがあり、やめられない楽しいものでした。

釣りが出来るところであれば、どこでもOKでしたので、
海、湖、渓流などいろんな場所でやっていました。
まだ、自動車の免許を持っていない年齢でしたので、
電車に揺られて現地に向かう訳ですから、持てる荷物が限られてきます。
だから、みなさんが想像されるアウトドアとは違う、
どちらかというと野宿に近いものでした。
テントもバーベキューセットもない不自由な状況ですが、
その不自由さが妙に心地よく、楽しい。
何をするにも道具が足りず、その道具に近い何かをその場で作り出し、
なんとか乗り切るというのを何度も繰り返します。

社会人になると、なかなかこういった経験はしなくなってしまいました。
自然のある地に赴いても、自動車を利用し、宿泊はホテル、
アウトドアで遊ぶ・体験するのもお金を払ってしまいます。
これは自然と近い距離で行うレジャー、いわゆるエンターテイメントです。

自然体験もレジャー化している昨今ですが、
やはり自然と本当の意味で向き合う機会を持つべきです。
普段の生活がどれだけ便利で、人工的に造られたものなのかを肌で感じるには、
やはりそれから一度離れてみなければならない。

ただ一夜を乗り切るだけですが、五感が研ぎ澄まされ、
多くのことを学べる「現実逃避」をまたそろそろしたいと思う今日この頃です。