June 12, 2009

「ピン角」

建築の現場等で使用する言葉に「ピン角(かど)」と言う表現があります。
柱や壁等の出隅(ですみ)部分がほぼ直角な形状のことです。
例えば「そこの壁端部はピン角で納めてください」といった具合に使用します。
完全な直角形状は角の先端が鋭くなり手を触れるとケガをします。
そこで1-1.5mmの糸面取り形状とします。

ピン角の納まりは仕上げ材料によりますが、施工者から嫌がられます。
その理由は施工者に高い技術と仕事の丁寧さが求められるからです。
ピン角の部位がある長さになるとその角は直線として見えます。
施工精度が悪いとその直線がぐにゃぐにゃと波打ってしまいます。
つまり施工の良し悪しが一目瞭然なのです。
また、角は他の部分に比べると物がぶつかったりして破損しやすい部位です。
耐久性という点からもピン角は不利です。
そのため下地にも配慮しなければなりません、つまり施工手間がかかります。

ピン角
ピン角
手間のかかるピン角ですが現場経験から空間への効果が大きいことがわかりました。
本来かたちのない光を美しいかたちで見ることができるからです。
ピン角の直線で切りとられた壁や天井面は光(影)を面に分割します。
直線や面は空間に緊張感を生み、自然界にない人工的な光のかたちをつくります。
光のかたちを通して、自然との対話ができそうですね。