May 7, 2009

「DXF」

ホームページに「DXF」をアップしました。

大分過去の作品ですが、毎年ゴールデンウィーク中にスパイラルで開催されている
SICFに出展したインスタレーションです。
審査委員賞 南條史生賞を受賞したこと以上に、
自分のフィールドが拡張されるひとつの転機となった思い出深い作品です。

第3回SICF出展「DXF」審査委員賞南條史生賞受賞
与えられたブースを2等分割し、
ひとつの空間に普段目にしているモノ
(ブースのサイズから自分の机の周りにある物)を置き、
もう一方の空間でそれらを図面化しました。
何気ないモノは図面化されることで、普段の認識との違いを生み出し、
新たな価値を見る人に与えてくれます。
3次元のモノを2次元に変換することで見えてくる違いは、
普段知ることのなかった情報を見せてくれます。

モノが図面化され、集積することで描かれる緻密なグラフィックは、
ひとつのモノでは得られなかった新しいイメージを想起させます。
この作品は図面化という技法(既存のモノを既存のまま図面形式に変換すること)が
つくりだす日常の再認識(既知のモノに新たな感覚・認識を持たせること)です。

「DXF」コンセプトイメージ
以下、当時のコンセプトをそのまま記載しておきます。

ある瞬間のちょっとしたきっかけが、ごく日常の何気ないモノを、
全く新しいモノへと転換させてくれることがあります。
意味としては同一の世界が異なる描かれ方で表現されることで、
新しい感覚へのきっかけを見る人に与えてくれます。

ひとつの空間には、日常見慣れたモノが当然のように置かれています。
もう一方の空間には、その空間に置かれたあらゆるモノが
図面として描かれた世界が広がっています。

扱うモノは特別美しくも、おもしろくも、心地よくもない。
むしろ汚らしく、騒々しく、不愉快を覚えるモノなのかもしれない。

けれど、それらを忠実に、必要に図面化することで、
図面としての別の世界が発見できます。

本来、立体として見えているモノが、あえて線のみによって描かれる不自由な認識。
訪れる人は普段とはズレの伴った感覚を持って、モノと接することができるでしょう。
汚さから美しさを見つけ、あるいは、気にしていなかったモノが
意外と気になり出したりするのかもしれません。