June 24, 2009

「グラデーション」

デジタル(光学的)にグラデーションを作成すると、印刷の段階でトーンジャンプ
(連続的に濃度が変化している部分で、印刷物の濃度が急に高くなること。
グラデーションでは、色が変化していく境目が段差になり、目立ってしまう現象。)
が起きやすいのですが、これは製版技術の問題ではなく、
人間の視覚的な問題のようです。

CMYKは0%-100%の間で指定されているのですが、
1%インクがのっている部分と全くインクがのっていない0%の境界を
人間の眼は完璧に見抜いてしまうそうです。

実際それを防げるのは印刷屋さんまたは製版屋さんの技術の賜なのですが、
ノイズをかけたり、アナログに変換する等の解決策があるそうです。

ジャンピング
人間の眼ってやはり精密機械だなぁと感心しつつも、
デジタルのものよりアナログのノイズの入ったものの方が、
逆になめらかな再現が可能であるということに手間をかける重要性を感じます。
空や海といった風景のグラデーションやインテリアのライティングによる
グラデーションといった自然物のトーン変化はランダムになっており、
さまざまな色相の階調が複雑に入り組んでいます。
自然の中にある美しいグラデーションを、パソコンソフトのツールひとつで
再現できる訳がないのです。

グラフィックのグラデーションに関わらず、あらゆるクリエイティブにおいても
これは共通していると思います。
コンセプトやデザインにおけるルールも、単純にただ掲げるより、
様々な事象を捉え、ある種のノイズを加えることで、
逆にそれがノイズとして見えてくるのではなく、
よりそのコンセプトやデザインに強度を与え、
結果として再現性の高いものとなってきます。

柔らかい境界のないグラデーションを作ったつもりが、マッハ効果
(純白の0%と1%の境目の部分が目の錯覚によって純白より白く見えてしまう現象)
によって想定しなかった境界が生まれてしまうなんてことがないように、
手間を惜しまず、試行錯誤を続けていきたいと思います。